一歩、また一歩、恐怖は好奇心に追いやられていった。
その時、私の幼い頃の朧気で途切れ途切れだった記憶が鮮明に蘇る。
私が書いている小説に出てくる「大きなお屋敷」にはモデルがあった。
私の幼い頃の記憶・・・ 曖昧で不鮮明だけど確かにある。
我が家は 一般的なサラリーマン。言わば庶民の中の上くらいである。
しかし、母方の曾祖父は 大層なお金持ちで高級住宅街のてっぺんにある
「大きなお屋敷」に住んでいた。
私も幼い頃一度だけそのお屋敷に連れて行って貰ったらしい。
その時の記憶がはっきりと蘇る。
そう、このお屋敷はまさにそのものであった。
光のその先にあったものは 「豪華な食事」がのっていた見覚えのあるテーブ
ル。
20人くらいが一度に食事のできる長ーいテーブル。
長すぎて向こうの端は影にとけ込んでいる。
私は部屋の中を見回し しばし幼かった頃の記憶を懐かしんだ。
次の瞬間、私の視線が一点に集中する!
かすかなシルエットだが テーブルの向こう端に人影が!!!
つづく |