校門をくぐった先には見覚えのない景色が広がっている。
「あれ?」
後ろを振り向くと、さっきまであったはずの門もみなれた町並みも消え、怪しい笑みをうかべる木々が、私を囲んでいた。
私はなにかに導かれるように、深い深い森の奥へと進んだ…
どれくらい歩いたのだろうか…。
足は棒になり、もぅ動けないとしゃがみ込む。
カラスの鳴き声につられて顔をあげると、夜の闇にとけそうな真っ黒の建物がポツンとたっていた…
不気味に思いながらも、私は、重い足を引きずり、建物にむかっていた。
窓一つないへんてこな建物…
「あれ?この建物…」
目の前の建物は私がかいていた小説の中の建物にそっくりだった。恐ろしくも懐かしい気分に掻き立てられ、建物の扉を叩いた。
つづく |